○ドラジニ編


「…なんであなたなんかに…。」

 怯えたように、ジニーは体を竦ませた。ドラコがフン、と笑う。

「なんだ、本気にしたのか?言ってみただけだ。…誰が、貴様のような貧乏くさい小娘の食いかけの物など。」

 あざ笑うような口調に、何でそんなに意地悪なの?とジニーが泣きそうな口調になる。

 赤い髪の毛よりまだ赤くなるその頬を眺めながら、ドラコはすっと距離を詰めた。

「……泣くのか?」
「っ、泣きやしないわ!」

 貴方のためなんかに!と気丈に言い返すジニーのその潤んだ青い瞳を覗き込みながら。ドラコは薄く微笑んだ。

「…全く、愉快な獲物だよ君は。」

―――こんなに男の嗜虐心と闘争本能を掻き立てるとはね。

「な、何を訳の分からないことを…!」

 つい、と顎に細い指が伸びて、ジニーが硬直する。

「……スリザリンの、しかもマルフォイ家の人間とこんな事をしていると君の兄上が知ったら。どう思うかな。」

「…どうってことないわ、何もないんだもの!」

「何もない、ねぇ…?」
 ドラコが微かに首を傾げ、つい、とその耳元に唇を近づけた。

 吐息が耳朶を打つ感触に、ジニーの背筋が震える。

「なぁ、ヴァージニア・ウィーズリー?」
「…!な、な…!!」

「一口、味見をさせてくれ。」

「…っっっ!!」
 囁きの色香に、ジニーが目眩を起こしそうになる。

 くらりと揺れそうになる体を素早くドラコが受け止め、手のひらに後生大事に抱え込まれたままの肉まんを、一口囓り取った。

「…!」
「ご馳走様。」
「…あ、あの。」
「…なんだ?僕は肉まんの味見をしたかっただけだが……。」

 一体何と勘違いした?と笑われ。ジニーは羞恥で再び、目眩を起こした。

―――腕から、抜け出せない。


―――MISSION COMPLETE.



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