○リボンズ・アルマーク編
緑色の髪の少年が少しずつ近付いてくる。
「ああ、会いたかったよ……僕のAmur」
「私はブシ仮面ではない!」
知っているとも、と少年は妖しく微笑む。
「バック・ジャウアー捜査官だろう?」
「今はバックよりも顔を見る方が好みだ!」
「相変わらず難しい人だな」
「脚本家の悪霊が出る前に消え去れ、イノベイター!!」
つれないねえ、と少年は肩を竦めた。
「このチョコレートを僕にくれたときは、あんなに素直だったのに」
「いつ私が君にチョコレートをやったというのだ!! 断じてそんな記憶はない!!」
簡単だよ、とリボンズが勝ち誇る。
「軍の休憩室に差し入れで置いてあったのを一個失敬したのさ」
「庶民的すぎるだろう、イノベイターの首魁が!!」
「エゴだよそれは!」
まあそんなことはいいさ、とリボンズは話を切り上げる。
「今日の僕は愛の狩人、そして愛の伝道者。今度こそ燃えさかるこのAmurを発散させる場所を与えて貰うよ、マ・シェリ。君がチャーミングすぎるからさ」
「待て待て待て待て! 前にも言ったが興が乗らん!!」
「すぐにその気にさせてみせるさ。……人は変わって行くものだろ?」
「宇宙世紀ネタになどやられはせん、やられはせんぞ!」
「やられているじゃないか、意志が弱いな」
「私は我慢弱い!」
ひたひたとリボンズが一歩ずつ近付いてくる。さしも剛胆なグラハムも半分以上逃げ腰だった。
「だったら、……さあ、……さあ、Monsieur, Je t’aime, Je t’aime.......」
「興が! 乗らないと! 言っている!」
「受け入れてくれるなら、こんなに嬉しいことはない……」
「貴様、イノベイターではなく期待の大型新人だろう!!」
そんな不毛なやり取りを延々路上で繰り返したグラハムが、ニールの待つ家にその日のうちに帰り着けたかどうかは定かではない。
―――MISSION DEFAULT.
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