■ハロウィン!【TIGER&BUNNY S/O】
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ハロウィンの出動は仮装でどうだ、というのは誰が言い出したのか。
きっとちびっこたちはヒーローの仮装をしているだろうから、ヒーローはモンスターの仮装をしようぜ、楓にワイルドタイガー着て貰いたいんだよな、と親ばか丸出しの発言をしたヒーローだけは約一名居たが。
「僕は顔出しができますから、吸血鬼でもなんでもござれですよね」
と、ハンサムが売りのその相棒は言い、決まりすぎて嫌みなくらいの仮装姿を思い浮かべて全員がげっそりした顔をした。
普段は露出の多いコスチュームの少女がぽつりと呟く。
「あたしは氷の女王じゃないものがいいな」 「ブルーローズは魔女がいいよ、黒いワンピースとか、絶対に似合うから!」
パオリンに言われ、カリーナはそうそう悪くないような表情になった。
「そ、そうかな」 「ボクもお揃いで、黒猫になるよ! 一緒に歩こう?」
パオリンが請け負ったその瞬間、その場の約一名のオタク系男子がうっかり獣耳に尻尾のネコミミ少女を思い浮かべ、ニャオリン万歳、魔女っ子カリーナマンセー!と心の中でガッツポーズをする。
実は青年には歴然たる同性の恋人が居るには居るのだが、恋と萌はまた別問題なのである。
(ネコミミイズワンダフルでござる!)
それはさておき、フランケンだの狼男だのと顔が出せない残りのヒーロー達が色々な意見を述べている中で、吸血鬼申告で一抜けしたハンサムな後輩が、その見切れ職人にも話を振ってきた。
「先輩は? どうします?」 「僕ですか? 和風のがいいですね、幽霊とか」
真っ白な経帷子で三角の布を頭に巻いて、とイワンは言い、だったら落ち武者でもいいな、と普段のヒーロースーツを思い浮かべながら言った。
途端、日系人のヒーロー仲間から突っ込みが入る。
「経帷子ってお前、仮装に入るかそんなもん!」 「ええっ、何がいけないんですか!」 「血糊とかざんばら髪とか浮き出てるアバラとか、そーゆーのがちゃんと付くんだろうな、おい?」 「アバラですか……普通に脱いでても出ますよ、きっとそれ」
イワンが笑いながら軽口を返し、てゆーか怖いだろ、と虎徹はからから笑いながら言っていたが。
その一体どの部分がNGワードだったのか、ハロウィン当日は見切れどころか背景と一体化して透明人間サイクロンに擬態することになるイワンのその後の運命を、このときの青年はまだ知るよしもなかった。
「キースさん身体に痕付け過ぎでござる……!」 「ああ、……うん、アバラはだめだよね、アバラは」
取り敢えず、本日も通常営業のキースとイワンなのであった。
おわってしまえ。
2011/09/22(Thu) |
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