+++「ロバと女王」+++ |
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「…あら。」 箱を開けて、アリシアは思わず歓声を上げた。 ジョージが得意げに微笑む。 「どうさ、気に入っただろう?」 「ええ!」 アリシアが箱の中から衣装を取り上げて微笑む。 薄いトンボのような玉虫色の羽根を背中に備え付けた妖精の衣装は、 色白で純金の髪の毛のアリシアにはとても映えて見える自信があった。 嬉しそうな彼女の姿に、ジョージも一緒になって微笑む。 「着てみてくれよ、早速。」 「勿論よ!」 アリシアはいそいそと衣装を抱え、女子寮へと上がっていった。 程なくして、金糸の髪の毛を緩く結い上げ、 背中に羽根を揺らしたアリシアが階段を下りてくると、ジョージは満足げな微笑みを浮かべた。 「完璧だな。優勝はいただきだぜ。」 その賛辞の響きを含んだ自信満々な言葉に、思わずアリシアは微笑む。 「ティタニアみたいかしら?」 「うん、それで俺がオベロンの仮装をするんだよ。」 言いながら、ジョージは対の自分の衣装を取り出して見せた。 アリシアがにっこりと笑う。 「フレッドが海賊!なんて言いながら走り回っているから、貴方はピーターパンで来るかと思ったわ。」 ジョージがくすりと笑う。 「ああ、あいつは素直じゃないからな。ストレートが一番だってのに。 彼女に男の格好させてなにが楽しいんだか。」 「合わせてるのかと思ったのよ。」 「いつもいつもフレッドとつるんでる訳でも無いんでね。」 言った後、にやりと人の悪い笑みを浮かべながらアリシアを見る。 「俺がピーターパンなら君がティンクかい? じゃあ俺はウェンディ探して走り回る羽目になるけど、それでも?」 「…ダメ。」 言った瞬間、今の表情ヤキモチ妬いたティンカーベルそっくりだぜ!とツッコミを入れられ、 アリシアは思わず拳を振り上げた。 「…ジョージ、それ以上何か言ったら私行かないから!」 「なんで怒るんだよ!折角お淑やかで妖精の女王様みたいだったのにさ!」 あ、でもティタニアってめちゃめちゃ気が強いからそれもアリかもな、と続けるジョージをもうひと睨みして、 アリシアはふわふわと広がるドレスの裾をさばきながらその側に近寄った。 「…気に入った?」 「ええ、とても。」 なんのかんの軽口を叩きながらも嬉しそうなアリシアにジョージは満足げな微笑みを漏らしたが、 ふとそういえば、と釘を刺す表情になる。 「言って置くけど、俺はオベロンほど心、広くないから例え悪戯でも間男なんかさせないから。」 勿論シェークスピアからの引用から来る洒落なのだが、アリシアは笑い出した。 その位なら俺がロバの仮面被って夜這いかけてやるよ、 と訳の分からない理屈をこねるジョージに、アリシアは微笑んだ。 「オベロンでもロバでも貴方ならどちらでも大歓迎よ、お待ちしてるわ。」 「じゃ、早速今夜にでも君の部屋に…。」 「誰が夜這いを歓迎するなんて言ったのよ!!仮装の話よ、仮装!!!」 真っ赤になって怒る妖精の女王に、可愛いよなぁ、とヤニ下がっていたジョージが、 後で双子の片割れに 「お前、あのだらしない笑顔に王様は似合わないからロバにしとけ。」 とからかわれて背中に蹴りを入れるのは、その数時間後の出来事であった。 END
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