+++「Pirates of Gryffindor」+++

 

 




「…で?」
「よくお似合いです、キャプテン!!」
 戯けたようにフレッドが言う。
 ジョリーロジャーの付いた帽子を被りながら、アンジェリーナが溜息をついた。
 手の平の中の小さな小物を振ってみせる。
「眼帯まで有るなんて、用意周到ね。」
「そりゃ、スミスとしては船長にご不自由を感じさせたくありませんから。」
 あ、フックになるならかぎ爪のご用意もございます、と言われ、アンジェリーナは苦笑した。
「十分だわ。」
「よく似合ってますぜ、キャプテン。ハーロックみたいです。」
 じろり、とアンジェリーナが片目で船員の格好をした赤毛の友人を睨む。
「せめてエメラルダスにしてくれないかしら?」
 フレッドが分かったよ、と苦笑し、惚れ惚れするような男っぷりの彼女を急かす。

「さ、早く行こうぜ、もうみんな集まってるんじゃないかな?」
「ええ。」
 言いながらも、今ひとつ釈然としない表情で彼女は立ち止まったままだ。
「どうした?」
 フレッドの問いかけに、アンジェリーナは思い切ったように顔を上げる。

「ね、ジョージはアリシアに妖精の衣装を贈ったんでしょう?」
 私ってそんなに女らしくないかしら、と流石にちょっと拗ねたようなアンジェリーナに向けて、
 フレッドが何を馬鹿なことを、とでも言いたげに口を開いた。

「だって君が姫君や色っぽい格好してみろよ?男達が群がってデートどころじゃないだろうが。」
 うちの片割れはそこまで頭が回ってないみたいだからアリシア飾り立ててたけど、
 ありゃ苦労するぞ、などといけしゃあしゃあと呟くフレッドに、アンジェリーナが苦笑した。
「随分自信がお有りになるのね?」
「当たり前さ、俺が選んだ君だぞ?」

 君はそうじゃないのか?アンジェリーナ、と聞き返されて、
 アンジェリーナはとっさに赤くなって言葉に詰まった。

「そ…言うかなぁ、そんなこと!」
「何で照れるんだよ?」

 フレッドが目をぱちくりさせ、アンジェリーナは軽くため息を付く。

”…こういうとこ、他の兄弟には遺伝してないのかしら。”

 だったら他も苦労しているわね、と内心思いながら、アンジェリーナは精々虚勢を張って腰のサーベルを抜く。

「では行くぞ、フレッド。我々は財宝を狙って旅に出るのだからな。」
「合点承知でさぁ、キャプテン・アンジェリーナ!!」」

 後を付いて歩いてくるすっかり子分気取りのフレッドを振り返り、アンジェリーナは訪ねてみた。

「で、財宝って何?」
「…うーん、『永遠の愛』…とか…あ、痛!かぎ爪で殴るなよアンジェリーナ!」
「当たり前でしょ?何馬鹿なこと言ってるの!!」
 再び赤くなりながら怒ったように先へ歩くアンジェリーナの後ろで、フレッドはこっそり舌を出した。

「探して居るんだけどな、俺としてはマジに。」

 勿論アンジェリーナの耳にその言葉は届いたが、彼女はあえて聞こえない振りをした。

 フレッドの手に探し求める財宝が手に入る日は、そう遠い日のことではないようである。





END

 

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