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「何を食べて生きて居るんだ?」
それは疑問。
単純に答えるだけの。
「炭水化物と蛋白質と脂肪が少々だよ。…他に何があるの?」
にっこり微笑んでみせる。
騙されないぞ、と白金の少年が低く呟く。
「もう一度聞く、何を食べて生きていこうとしている?」
誤魔化せないか、と微かに自嘲する。…もう気づいてもいい頃だ。
「それはね。」
ずい、と間合いを詰める。
「……聞くには少々剣呑な質問だよ、スリザリンのお坊ちゃん?」
僅かに怯えたように体を竦ませる少年の灰色がかった色素の薄い瞳を覗き込む。
もう少し側に近づいた。顔を寄せ、真っ白い磁器でできたような耳朶に口元を近づける。
僕の餌は、蛇。…。
耳元、囁いた回答に、ドラコはさっと顔色を変えて。
―――踵を返して逃げ出すと思った。
だが、彼は真っ青な顔色のまま其処に留まった。
…時々、どうしようもなくこの愚かで自尊心の高い生き物が哀れになる。
餌食にされると分かっていても、一目散に逃げるくらいなら瞳を開けたまま喰われる方がマシだと。
本気で心の底からそう、信じ込んでいる彼の生い立ちとその背景が堪らなく痛々しい。
反対に時々、狂おしいほど……
駆り立てられて、腕を伸ばす。
「…なんてね。冗談だよ。…本気にした?」
「お前が冗談なんぞでそんなことを口に出すもんか。…食えるものなら喰って見ろ。」
毒で当たるぞ。…この身に澱のように溜まった沈毒で。
哀れむような、見下すような視線。
自分の血こそ、穢れきっていると信じて疑っていない。
虚勢の様に、新しい生命力に満ちたマグルの血をひたすら毛嫌いし続ける事で、辛うじて保たれている自我。
捨ててしまえば楽なのに、ロンのように、と苦笑せずにいられない。
親友であるロンの父親と彼の父親が同窓と聞いてハリーの驚いたことか。
片や七人兄弟の六番目、片や一粒種。…同じ純血なのに。
創造主というのは明らかに悪意と皮肉に満ちていると気づかされずにいない瞬間だ。
滅びたがっている、だから殺さない。
ふわん、と微笑んで、少しだけ彼の垣根をくぐる。
「……僕はね。」
君だからこそ食べたいって思っているんだって、もう言ったっけ?
一生君から出る感情だけを食べていれば生きていけるような気がするんだ。
首筋に手を回され、捕食動物のそれのような深緑の瞳に射すくめられて。
ドラコ・マルフォイはただ、頷くことしかできなかった。
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...end.
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