「裸足の女神/Oh, My Goddess!」





 太陽が照りつける。
 日差しの下、軽装の少年が手元の時計にひっきりなしに視線を落としていた。

 時刻は午前7時。暑くなる気配が、そろそろと漂い始めている。
「お待たせ!」
 背後から声がかかり、少年が、満面の笑顔で振り向いた。

「いいや、ちっとも待っていないよハーマイオニー。さぁ、行こうか?」
「ええ。」

 荷物を引き取って先に歩き出す少年の後を追う彼女の足取りは軽い。
「…サンダルで、涼しそうだね。」
「ミュールって言うのよ?覚えておいてね。」
「…はぁい。」
 マグル学の授業もしっかりかましつつ。

「ドラコ、もう来てるかしら。」
「来てるんじゃないかなぁ。昨日、やけに張り切って計画立てていたから。」
「そうなの?」
「勘弁して欲しいよな。巻き込むの。夕べ僕、ダイアゴン横町から帰ったの夜の11時だぜ?母さんに怒られちゃったよ。」
「…仲のよろしいことで。」

 男同士の密談を交わす犬猿の仲の少年たちの姿を想像してくすくす笑い出す少女が一人。
「…笑い事じゃないってば……」
「で?作戦は立ったの?」
「ばっちり。ついでに夏休みの計画も。」
「…楽しそうね男子チーム。」
「なに言ってるんだ、君も一緒だよハーマイオニー。」
 夏休み成功計画宿題実行本部長の君が居なくちゃ始まらないよ。
「…なんか、あんまり嬉しくない、その役職。他はないの?」
「僕のと交換する?『宴会部長』だけど。」
「遠慮しておくわ。」
「ほら。」
 代案を辞退する彼女に、フレッドとジョージからしこたま花火仕入れたからさ、みんなでやろうね。にっこりと微笑む。
「ええ、楽しみ。」
「後、海にも行くし、バーベキューもするよ。夜はキャンプファイヤーをしたっていいし、魚釣りもハイキングもするから、体力は保たせてくれね。」
「…遊び過ぎよ、宿題実行本部長としては。」
「それは、朝のうちに…」
「嘘、寝てるくせに…」
「バレた?」
「目覚まし担当課長なんてイヤですからね。」
「あ、その位はドラコにやってもらうよ。…でもあいつ、低血圧で朝は弱いって言ってたな。」
「どうでもいいけれど自分で起きる気はないの?ロン。」
「あ、そうだね。」
 楽しそうに交わされる行事予定表。ドラコは資材担当部長で食材調達係長でハリーは来賓兼特攻隊長なのだとか、なんとか。
「なんなのよ、特攻隊長って。」
 不審顔の彼女に予定表を振りながら宴会部長が返事する。
「ああ、海に行ってナンパで女の子に一番に声をかけに行く役。」
「…そのナンパに私を巻き込まないでね。」
「ええ?君が居てくれた方が成功率高そうだなぁ。」
「何でよ!」
「そりゃ、君がメンバーいち男らしいからだよ。」
 白いワンピースの、どこまでも女らしい彼女に微笑んで告げる軽口は、真実思っていないからこそ。
「もー、相変わらず女扱いしていないでしょ!」
「してるよ?」
 ひょい、と顔を至近距離で覗き込み、頬をうっすら染める彼女に人なつこい笑顔を贈る。
「君の悩殺水着姿、期待しているよ。」
「馬鹿、スケベ。」
「痛い!」
 何時もの毎挙がる悲鳴も、どこか楽しげ。はしゃいだ気分で二人で歩く。
「海、山、高原…他にどこに行けるかな。」
「どこにでも、あなた達となら楽しそう。」
 素直な返事がすぐに返ってくる。
「じゃ、とりあえずドラコと合流して、ハリーを迎えに行って…」
「そしたら夏休み計画発動なのね?」
「ああ、夜更かしの成果を見て欲しいな。」
「…勉強もこれくらい真剣にやってくれればねぇ。」
「それは君にお任せするよ。」
 朗らかな笑い声を立てながら、さぁ、急ごう?と掌を差し出す。
「ええ。」
 躊躇いなくその掌に自分の手を滑り込ませながら、ハーマイオニーが手を引いて歩き出す少年に問いかけた。
「…ところで、ロン。」
「なんだい?」
「二人っきりの場合でも、楽しい計画は立ててくれるのかしら?」
「………。」

 無言で手を強く握ってくる、向こうを向いたままの少年の。
 その耳までも、髪と同じ深紅に染まっているのを確認して。
 ハーマイオニーは満足した。




+++ * +++ * +++ * +++ * +++ * +++ * +++ * +++

>>>Be continued to "ウエヲムイテアルコウ"

END

 

+++back+++