『綺麗な花があるじゃん。』

 そう呟いたのは俺だったか君だったかアイツだったかそれとももう名前すら忘れた過去の人間だろうかそんなことはどうでも良い大したことじゃないんだただもうあの場面だけが頭の中をぐるぐるぐるぐるまるで幻灯か何かのようにしつこく回り続けるんだ走馬燈っていうのはこれのことかそれにしては随分関係のない場面が流れていくんだな教えてくれ俺はどうしたら良かったそのお前の不幸は俺の未熟か怯えかそれとももしかしてなぁ俺はお前のことそんなに好きじゃなかったのか親友だと言っても己の方が可愛かったのは俺じゃネェかああ俺はけだものだ人間じゃないこんな姿になったのも身から出た錆ってやつさあははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははあh……なぁ嫌えよ俺を憎めよ置いていくないや忘れてくれ忘れないでくれいや許してくれでもそんなああ許せるはずが無いじゃないかなぁ俺なら許さないさ泣けよ喚けよもっともっともっともっ

『名前知ってるか?』

『しらねぇよ。俺が花の名前に詳しいとか思ってるわけ?お前。』

 幼馴染みだって暖かい友情だってそんなもん反吐が出るぜ俺がアイツに感じていたのはそんなんじゃない分かるだろう俺は俺は俺は俺はおれはアイツが俺より上なのは知って居るんだ分かっていて俺より下の存在に置いておきたいんだそうさ俺は嫉妬して居るんだあいつにアイツの存在にあいつの剣の腕に才能に優しさに人を疑わない純真さに頑固なところに節を曲げないところに全部嫌いいや待てそれは俺が好きだったところかああもう熱いなんでもいい分からない

『しゃあねぇなぁ。これ、マツユキソウって言うんだぜ。スノードロップとも言うかな。』

 人は言うだろうな。美しい友情の物語だと。そんなんじゃないことは俺が一番知っているのに。言葉で縛り付けて約束で絡め取って側に置いてこれから先一生俺に負い目を感じて生きていかなきゃならないなんてアイツを嫌って嫌って嫌い抜いていたんじゃないのか俺はもしかしたらもしかしたらもしかしたら。

『この花、好きなんだ。俺。』

…ああ、もう持たない俺は死ぬ俺は死ぬ俺は死ぬんだ炎に巻かれて神様俺の体と共にこの思いも灰にしてくださいいや待て嫌だ嫌だ嫌だあいつが俺のことを忘れないようにしてくれ何を言って居るんだ忘れさせてくれああ熱い熱い熱いイタイイタイ掻きむしる地面掴んだ草一緒に燃え尽きる運命のそれはマツユキソウ水分の干上がった眼球で判別したそれを思い切り握りしめて俺は

「グレン」

機能を為さなくなった声帯でで泣きながらお前の名前を呼び、燃え尽きていった。

*END*

*FLORAL*

 

…スイマセン、「俺の心は千々に乱れた」ってこういうことだと思っていました(殴)うちのサイラスはダークが売りです。(笑)

 

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