―――――もう、止めてくれよ!!
何回だって声を限りにそう叫んでいた。決して聞こえない相手に向かって。
痛いのは体だけか?胸だけか?心じゃないのか?
見えているのに。目の前で、アイツが苦しんでいるのに。
ガラス張りの向こうから、芝居の登場人物に声をかけるような空しさで。
これが死ぬって言うことなんだろうか。
本当に、お前は優しすぎるよ、グレン。
逆恨みされたって文句は言えない。
約束なんていったって、死ぬ間際の戯言だ。無視したって誰も文句は言いはしないさ。交わした相手がこの世にいないんだから。
なのに、お前はやっぱり律儀に約束を守ってる。黙々と、恨み言一つ言わずに。
―――――止めてくれ、誰か、止めさせてくれ。あいつを、グレンを。
俺はもう随分叫んでいるのだが、誰もその叫びに耳を貸してくれないんだ。
もう既にどうして何をいつまで叫んでいるのかも判らなくなるくらい、ただ叫び声をあげ続けた。
むやみやたらに剣を振り回して。
誰でも良いから立ち止まって、俺の話を聞いて欲しかった。
誰でもいい。止めてくれ。
そして俺は長いこと叫び続けて叫びすぎていい加減何が何だか判らなくなってしまった。
―――――光が、射した。
声をあげ続ける俺の耳に、聞き慣れた声が飛び込んで来た。
「サイラス?!俺だ、グレンだ!!」
―――――グレン!!!
目の前のお前はやっぱり悲しそうな顔で叫んでいて、俺の声は・・・届いていない。
届かない。
天よ、もし・・・創造主というものが居るのなら。
たった一言でも良い。もう一度、俺にあいつと話す機会を下さい。
話があるんだ。あいつがいつまででもサイラスなんていう小さな枷に捕らわれないように。
俺なんかより、ずっとずっと勇者に相応しい男なんです。
どうか、どうか。
俺は、ここでずっと叫んでいる。俺のために苦しんでいる友に向かって。
いつまでも、いつまでも。
想いが届くまで。
>>to 『HAPPY-END』

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