「もう、ホンマにあんたも因果な人やね。(笑)」

 

 

<ルッカクロノ至上主義の続き。文句・苦情受け付けズ。イヤなら読まないでね>

 

 

 

 

 

 

愛モード

 

 

 

 

 その小さな呟きが聞こえたのは本当に偶然だった。

 クロノがうなだれてルッカの部屋を出た後に、未練がましくドアの前をうろついていたから。閉じたドアは再び・・・勢いよく、開かれた。

「ルッカ!!」

「・・・!!クロノ!何よ、アンタ帰ったんじゃなかったの?!」

「いいんだよそんなの。それより、あの、えーと、さっき言ったコトなんだけどそのだからそのことについては全く同意見でだからさ、そうじゃないと思って落ち込んでたんだけどでも・・・」

「・・・??????何を言ってるのかさっぱりわかんないわよ。いつもいつもちゃんと要領よく中身をまとめて喋りなさいって言ってるでしょう?」

「あー、」

 とたんに言葉に詰まる。言いたいことは一杯あるけれど、ルッカのように筋道立てて話すのが苦手なクロノはちゃんと伝わるように気持ちを言葉になんてなかなかできない。

「・・・クロノ?」

 だから、こんなとんでもない展開に持ち込むハメになってしまう。

「結婚しよう、ルッカ!!」

「はーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ??????????????!!!!!!!!!!」

 特大のクエスチョンマークを盛大にサービスして、ガルディアの誉れ高い才媛ルッカ嬢の脳味噌はフリーズした。

 

「あ・・・アンタ何とんでもないこと言い出すのよいきなり!!」

 硬直状態から解放されたルッカの第一声はこれだった。

「とんでもなくなんかないよ。」

「とんでもないわよ!!アンタは来月マールディア王女とご成婚する体でしょうがっ!!私不倫だけはイヤだからね!!」

 ルッカの方も混乱のあまりなんだかよく分からないことを口走ってしまっているのだが・・・クロノはにっこりと笑って、あっさりとこう言った。

「あ、あれなら断ったよ。」

 また正確に三十秒、ルッカがフリーズする。

「こ・・・こ・・・断ったぁぁぁぁぁ???!!!アンタ何考えてるのよ!!」

「いや、だってマールは妹みたいなもんだし。」

 さらりと無茶苦茶な理屈を言ってのけるクロノ。『よく言うわ・・・』ルッカは何だか頭痛がしてきた。

「妹って・・・アンタはそれでも向こうは違うの!!私はねぇ、マールだったらアンタをお婿にやっても良いと思ってここまでやってきたのにその苦労をぶちこわすような真似を・・・」

「うん、マールもそう言ってた。」

「へ?」

「マールも、『ルッカにだったらクロノをお婿にやってもいい』って。」

「アンタねぇ。・・・アンタはそう言われたら、何処にだってホイホイ付いていくわけ?!マールに言われたら私と結婚するって?冗談は寝てるときだけにしなさいよねもうっ!!」

 言いながら何だか情けなくて涙まで出そうになってルッカは慌てて俯いた。本当に、何でこんなに手間がかかるんだろう。この男は。

「誰でも良いって訳じゃないよ。真剣に言われたってカエルのトコなんかお婿に行きたくないし。」

「当たり前よっ!!向こうだってイヤだって言うわよアンタなんか。」

「ルッカだからだよ。」

「・・・へ?」

「ルッカの所だったら、お婿に言っても良いよ。」

 もしかして。

 恐ろしいくらいの低い確率だと思っていたけれど、もしかして。

「あの、クロノ・・・・・・・」

「ん?」

「あのね、」

 もしかしたら。

「・・・私のこと、・・・ううん、何でもない。」

 駄目だ、聞けない。黙りこくったルッカを見て、クロノはがしがしと頭をかいた。

「うん、好きだよ。ルッカのことは。ルッカだって好きだって言ってくれたじゃないか、さっき。」

「・・・!!アンタ立ち聞きしてたのね〜?!」

「うん、ゴメン。」

 にっこり笑って、悪びれるそぶりもない。ルッカは何だか無性に腹が立ってきた。

『このおとぼけクロノ、さっきまでのブルーな雰囲気を、私の涙をかえせ!』

 だからつい、心にもないことを言いかける。

「でもね、」

「でも、何だよ。」

「私は、」

「サイエンスに一生を捧げるの?」

「!!」

 幼なじみにあっさりと言いかえされ、ルッカの顔がますます不機嫌になる。

「・・・冗談だよ、そんな怒った顔しないでよ。・・・」

「大体アンタ今までそんなこと一遍だって言ったことないじゃない!!」

「うん、ルッカは知ってると思って 。頭良いしさ、良く気が付くし。とっくに知ってるんだろうって思ってたよ。」

 別の意味で、頭が痛い。私が今までしてきた気苦労は何だったんだろう?・・・とルッカはため息を付く。

「そんなわけないでしょう・・・もう、ホントに手が掛かるんだからアンタってば。」

「そうだよ。だから、ルッカが側に付いててくれないと。ねぇ、一生面倒見て、そんな風に叱りとばして欲しいな。」

「・・・・・・そうね、考えといてあげるわ。」

 せいぜい見栄を張って、胸を反らし、偉そうに私は答えた。胸の内では『降参』の白旗を揚げながら。

 

 

 

 ちっともロマンチックじゃない腐れ縁の私達の、これがハジマリの瞬間。

 

 

 

 

 

>>逃亡。

 

 

 

 

カエリマス

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