WINTER SONG

++++++++++




__________I want to show you everything I see, the way I'm feeling.



 もう、歩くの速いよ、と文句を言いたくなる。
 朝起きると降り積もって、眩しいくらいに朝日を弾いていた真っ白な雪は、まだまだ溶ける気配がない。

 思わず嬉しくなって、外を歩こうよ、と申し出たら、いいよ、って二つ返事でオッケーしてくれたから、急いで部屋で温かい服に着替えて。

 コートとマフラーはきっちり装備して、靴を選ぶ。雪を踏みしめたらきゅっきゅと鳴きそうなくつ。
 楽しそうだね、と微笑んでくれる、その青い瞳に引き込まれそうで、思わず靴紐を結びかけでよろめいてしまったら、腕を出して支えてくれた。

「さぁ、行こうか」

 そのまま、手袋をしていない手を引かれて、外に出る。うわぁ、と思わず歓声を上げた。頬を指す気持ちがいいくらいの冷気、一面の雪、真っ白の世界。

「楽しいかね?」
「うん、すごいね、積もってるよ!」
「そんなに珍しいのかい?」
「珍しいよ、コロニーじゃこんなにつ積もらないし」

 言いながら、早く行こうと繋がれたままの手を引っ張る。まぁ待ちたまえよ、と子供を見守るように苦笑するシャアの背中から朝日が射して、金色の髪がまるで本当の黄金みたいにキラキラ光って、眩しくて目を細めた。

「どうした?
「ううん、ちょっと」

 思ったことを口にしても、どうせ笑われるだけなので、そんなことより早く雪の上を歩こうよ、と急かす。

「誰も歩いていないところを歩くのがいいんだから」
「はいはい」

 まるで子犬だな、と軽く肩をすくめると、シャアはこちらにぽん、と片方だけの手袋を投げて寄越した。

「片方だけ?」
「貸してあげるよ。どうせ、この手は離さないのだろう?」

 言いながら繋いだ手を挙げてみせたので、恥ずかしくなってぐいっと引っ張って頭突きをしてやろうとしたら、ひょいと軽くかわされてしまった。

「危ないな、
「うるさいなー、こういうのは避けちゃダメだって」

 もう、と言いながら頬を膨らませると、子供のようだねとつつかれた。それから暫くは輝く銀世界を楽しみながら歩き続けていたけれど、やっぱりどうにもシャアが遅い。とうとう焦れて、振り返って言う。

「遅いよ、シャア」
「君が早いんだよ、
「そんなことありません。いいよ、もう。先に行くから」

 んべ、と舌を出して繋いでいた手を解いて、やっぱり離すと少し寒いな、と思いながら、シャアに背を向けてざくざくと雪を踏みしめて先に歩き出すと、背後でなにやら不審な物音がしたかと思うと、後頭部にぽこんと雪玉が当たった。

「冷たっ…、こら、シャアっ!!」
「君が無防備なのがいけない」

 彼にしては珍しいくらい無防備に笑いながら、既に手には次の雪玉を持ったシャアがそれを投げてくるので、悲鳴をあげながら逃げて、足下の雪を掴んで投げ返す。

「そんなものは当たらんよ、私を誰だと思っている?」
「現役引退した、元・「ジオンの赤い彗星」!!」
「言ったな」

 言いながら、シャアは次々に雪玉をこっちに放ってくる。やられっぱなしは性に合わなくて、雪を掬っては手の中で軽く固めて、投げ返すけれど、腕の長さと身長と、掌の大きさまでサイズの小さいこちらが不利で、悔しくなって両手で思い切り雪を掬って投げつけると、踵を返して逃げ出した。

「うわっ、…待ちたまえよ、!!」

 シャアの声と一緒に、一際大きな雪玉が、逃げていた背中に思い切り命中する。―――さすがにちょっと、痛かった。

「痛っ、ちょ、今の雪玉、なんか芯に入れてなかっ……!!」

 文句を言いながら足下に目を落として、絶句する。石ころか、握り固めた雪か、と思っていたのに。
 そこに落ちていたのは、小さな小箱だった。唖然としていると、ざくざくと雪を踏みしめてこちらに近寄ってきたシャアが、小箱を拾い上げて、蓋の開いた中身を確かめてふんわり微笑む。

「よかった、中身がなくなっていたらどうしようかと思っていたがね」

 小さくウィンクをしながら改めて手渡された指輪を、どう反応していいやらよく分からないままに、ちょっぴり情けない雪まみれの姿で受け取ると、輝く飾りのようで綺麗ではあるが、風邪を引くなと笑って、シャアは髪の毛についた雪を手袋をはめていないほうの手で払いのけ、そのまま顔をゆっくりと近づけてきたのだった。



__________The greatest gift I ever had was you.






++++++++++

+++END

 

 

2006年バレンタイン話、おまけ!(笑)
シャア・アズナブルとドリーム小説ですが気分はいかがですか、
さん(笑)
一応、「冬のソナタ」みたいな感じで!というリクエスト(誰の)があったのでやってみました。
大きな間違いでした(笑)ちなみに、デフォルトでシャアム小説です。

Happy Valentine!!

 

+++ back +++