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※世界はSRW設定です。
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わかってるってもう行きたいんだろ
気付かないわけないだろうYou're the only one.
どんなことでも無駄にはならない
僕らはなにかをあきらめるわけじゃない
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☆T☆
大きな木の下で、俺達は確かに約束をしたんだ。
天然の樹じゃなくても、光じゃなくても。
キラキラと光る木漏れ日の下のあの言葉は、本物の匂いがした。
「俺は、この戦争が終わったら退役して、此処に住もうと思っているんだ。」
「だから、あなたも。」
一瞬の驚いた表情。そして返事の代わりの笑顔も、確かにまごう事なき、本物だった。
「…ああ、アムロ。」
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ロンド・ベルはとてつもなくイレギュラーな部隊だった。
どのくらいイレギュラーかというと、…旗艦ラー・カイラムにはガンダムのパイロットは新旧取りそろえて勢揃いしているし、ダンクーガだのライディーンだのおおよそ日が昇る歴史上に登場してきた固有名詞殆ど全てが集結している。
挙げ句の果てにスーパーロボットなどと呼ばれるもっと巨大な機体とそのパイロットもいるし、かといえばエヴァンゲリオンなどという半分は人間らしいと噂の謎の生物兵器もどきまで在籍している。
率いているブライト・ノアは人望だけで綱渡りをしているというか日の本一の貧乏籤体質というか、とにかくありとあらゆる胃薬達とお友達だそうで。
そしてこの些か堅物過ぎて頼りない黄門様を支えるツートップのエースならぬ助さん格さんの名前は、アムロ・レイとシャア・アズナブル。
どちらも今やガンダムサーガとして世界中に語り継がれる、一年戦争を戦い抜いた勇者達であった。
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英雄が必ずしも人格者である必要がない、なんてウンザリする真実を言い当てやがったのはどこのどいつだったっけ、とアムロは溜息をつきながら目の前の男に視線をやった。無駄だろうと思いつつ反論を口にする。
「俺、無実だから。」
「口では何とでも言えるがね。」
案の定きっぱりと返され、がっくりと項垂れる。何でそう疑り深いかねぇ、と嫌味も忘れずに。
「だからさ、別に構わないだろ、ブライトの部屋に泊まったって…俺達男同士だぜ?」
「君と私もそうだが?」
「…いや、そうじゃなくってさ。俺あなた以外じゃノン気だし女がいいし、第一俺面食いだからブライトは別に好みじゃないし。」
聞きようによってはかなり失礼なことをつらつら述べながら、アムロが嫉妬深い恋人の顔を見上げる。
「第一、ブライト相手に勃つかよ?」
「私は君になら欲情するが?」
「イヤだからそりゃ俺もあなたには…だからさぁ、男同士は嫌なんだよ俺、基本的に…」
もにょもにょと段々に言語も意味も不明瞭になって行く。シャアがちょっと眉を顰めた。
「だったら私も迷惑なのか?アムロ。」
「だーからっ!あなたは特別だって言ってるだろう?!」
がばっと顔を上げて弁明を続けようとして。そこでようやくアムロは金髪の男の口元が笑っているのを見つけた。スクリーングラスの向こうの青い瞳が面白そうに光っているのも。
「…って言い訳すんの面白がって見てるんだろ。」
「馬鹿な、被害妄想だよ、アムロ君。」
「嘘つけ。」
食ってかかろうとしたところで、デッキ内にサイレンの音が鳴り響く。うんざりしたようにシャアがまたか、と呟いた。
「ほら、オール・ハンズ・ポジションだってよ。行くぞ。」
「第一級戦闘態勢より君との話の方が優先だ。」
「なに、馬鹿なこと言ってるんだよ!」
アムロが怒鳴り返すその隣を、コウが低重力に体を流しながら通り過ぎてゆく。
「アムロさん、クワトロ大尉、何やってるんですかー?行きますよ!」
と声をかけられ、シャアが軽く舌打ちをした。
「ええぃ、無粋なサイレンだな、全く。ここのところ多すぎないか?」
「しょうがないだろう、戦いももう大詰めなんだぜ?」
そこんとこはあなたが一番よく知っているんでしょう、ネオ・ジオン総帥?と皮肉混じりに聞かれ、シャアは苦笑した。
「…そうだな。」
アムロは既にνガンダムに向かって駆けだしている。シャアも隣に並ぶ赤い機体に乗り込むべく、エースパイロットの後を追った。
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「この間、二人で旅行した時はあんなに楽しそうだったのに…。」
出撃の後、並んでシャワーを浴びていると、隣のブースから早速恨み言の続きが聞こえてきた。アムロは溜息をついてシャワーの温度を上げる。
「こないだの旅行って、アレか?二人で保養施設系のコロニー片っ端から巡ったやつ?」
「そうだ。…是非また行きたいものだな。」
最もいつになるか分からないが、とシャアは苦笑する。そもそもアムロと自分の休暇(というよりもお互い殆ど失踪寸前の強引さで休暇を無理矢理捻りだしたというのに近い)が重なった事自体が奇跡的だったのだから。後でナナイには総帥は遂に駆け落ちなさったのかと本気で心配しました、と嘆かれた。黙り込んだシャアに向かって、アムロは陽気に話し続ける。
「知ってるか、あの話ジュドーにしたらさ、行き先がじじむさいって笑われたよ。」
隣のブースのシャワーの音が止んだ。ひょい、と曇り硝子のドアを開けて、金髪の男がこちらを覗き込む。
「…もう若くないだろう、お互いに?」
「ってうかこの艦の乗組員、平均年齢あんまり低いよな?」
体に残った石鹸の泡を洗い落としながらアムロがぼやいた。
「一年戦争の時の君より若い者も居る。嫌な時代だな。」
ぽそりと呟き、シャアは自分の個室に引っ込んだらしかった。ぱたん、と音がして先に行って居るぞ、と声がかかる。咄嗟に呼び止めた。
「あ、待って。」
「…なんだ?」
「…一人で先に行くなよ、待ってろ、すぐ出る。」
素っ気なく言われた声音が照れているのに気付いて、シャアは笑いを噛み殺しながら返事をした。
「…了解。」
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To be Continued.
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