☆☆Ordinarily Man☆☆ |
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やっと地球に帰り着いた。コウはそれだけで嬉しくて堪らなかった。
同じ部隊の面々と肩を並べ、シャトルを降り立つ。
他に道もないので軍隊に入ったが、今までに自分は幾つコロニー落としに遭遇しただろう。
瞼を閉じれば、昨日のことのようにありありと思い出せる。
目の前で臨界阻止点を超えてしまった、あのコロニー。
太陽光のソーラ・レイで焼かれたコロニー。
☆☆★
初速度からして、毎秒29.9792458万km位の速さはあったと思う。
その位の勢いをつけて、あいつはオレの中に突貫をかましてきたんだ。
出会いの衝撃はまさに、閃光。
棚引く星の屑の尾を伴った、銀色の流星。
コウの心をうち破って、ものの見方と人生を根底から覆していった、あの、男。
☆☆★
「宇宙は久々にあがったな。」
ぽん、と未だに同僚のキースに肩を叩かれ、コウはそうだな、と苦笑した。
「でもさ、この『シャアの叛乱』もさー、なんか…すっきりしなかったよな、結末。」キースがぼやく。
コウ達は決して前線に出ることはない位置にいたのだが。アクシズ落としの情報が入ってから、連邦軍はなるたけの人員を宇宙へと送り込んでいたのだった。…その位なら、民間人を脱出させればいいのに、とは思いつつも何も出来なかった、窓際とはいえ士官学校出身の二人である。
「オレ達は多分、考え過ぎなんだよ、キース。」
コウが言いながら首を振った。…この戦役の前に、大気圏内でシャア・アズナブルと一騎打ちになったという話から後の続報の入ってこない、アムロ・レイと出会ったことは、目の前の親友にも内緒の話だったが。
キースがそうなんかなぁ、と後を追って呟く。
「でもま、こういう世の中の…なんてーか、色んな理不尽にはさ。段々慣れて鈍磨になってくもんだっていうけれど、お前は変わらないよな。」
イイヤツだよ本当にお前、と癖のない黒髪をわしゃわしゃ掻き混ぜられたコウがやめろよ!と抗議の声を上げる。
その後で、切ないような微笑みを浮かべた。――この十年間、0083年にコウと共に過ごした人間だけが時に目にする、コウの特別な笑顔。
「そりゃ、オレの中には…まだ、あの時の星屑が残っているから、かな。」
消えず燻り続ける記憶の種火は、十年後も変わらずコウの胸を熱くする。
けれども。
既に彼は時代の主役ではなく、英雄ではない。
ただびとのまま力強く生きていこうとする彼等は、祈りの言葉のような星屑の欠片を握りしめた。
既に終わった十年間の次の十年を歩き出すために。
そして、歴史は留まることも振り返ることも許されず続いてゆく。
―――例え誰を失うことになったとしても。
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+++END.
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と、いうわけでかがみもちを割ってしまったのでその欠片で振る舞いぜんざいを。(笑) |