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狂って、狂って、狂って。
おかしくなるほど愛おしくて。
呪い殺せるものならばいっそのこと…
*:※:*
男女間ではあんなに簡単な事が、男同士だとこうも儘ならないだなんて。
こんな世の中に誰がした?
先日の出来事をアムロはいつまでもいつまでも考えていた。
ガンダムの事以外でこんなにも心奪われる事があるだなんて。
「そうか、俺わかったぞ。」
そう言って突然食事中に忙しく立ち上がるアムロを見て、このボンバーまたおかしな事言ってるぜ…とカミーユは思う。
頭沸いてんじゃねーのか?と訝しげに横目で見つめる。
「そうだよな、人類皆ホモサピエンスなんだよ。なぁ、そう思うだろカミーユ!」
ハムスターだって共食いするんだ。バッタだって、カマキリだって!(無理矢理)
ミミズだって、オケラだって、アメンボだって!生きてるんだよな!
「………ああ、そーですね。」
怖ぇよ、このパンチ!前々からおかしいとは思っていたけど、ここまでキてるとは。
触らぬ神にナントヤラだぜ。とカミーユは適当に相づちを打つ。
そんなカミーユを後目にアムロは結論に至るのであった。
―――ホモでも何でも…難しい事はもういいや。
“俺、あの金髪の事が気になって仕方が無いんです。”
*:※:*
プシュッと小気味よい音がしてドアがスライドした瞬間、堰を切ったように押し寄せる水流の如く。
「俺さ…どう考えても鮒に落ちないけど、この際ホモでも何でもいいけど、いや全然良く無いけど!
もうっ、どうしたいいんだよこれ。全部あんたのせいだ…、あんたのせいだよ!!」
これは嵐かはたまた洪水かと、突然やって来ては真っ赤な顔をしてベラベラと喋り出す男を見て、流石のシャアも呆気にとられたようで。
「君、君…ちょっと落ち着かないか。」
とりあえず座りたまえよ、と席を勧める。
「ああ?!」
これが落ち着いていられるか、俺は今すっごい有り得ない事を言っているんだぜ?
一世一代の大告白ってやつだよ。
ご先祖様ごめんなさい。俺は子孫を残せません。(テンパリ過ぎ)
「好きだか何だか良くはわからないけど、とにかくあなたが欲しくて堪らないんだよ!」
・・・・・。
はい?
「げええ、…今、俺なんつっ…た?」
唇の端をつり上げ、今にも泣きそうな目でアムロは訴える。
「だから落ちつけと言ったのに…。」
突然人の部屋に押し掛けて来て喚き散らしたかと思ったら、ひとりで乗るわ突っ込むわ…。
君と言う人間はなんて忙しいやつなんだろう。
柔らかい溜息を混じらせてシャアは続ける。
「思った事は一度頭の中で整理してから言葉にしたまえ。」
君の言葉はある意味ファンネルだな、しかも抜群にコントロールの良い。
無抵抗な人間に対しても容赦がない。
「有り難う、そこまで想われて私も本望だよ。」
やはり礼儀正しき赤い男は微々たりとも動じず。
静と動、赤と白。どこまでも正反対な二人なのであった。
「…どうしてあなたはそんなに冷静で居られるのさ。」
少し躊躇い、合点がいかない面持でなおも続ける。
「さてはやっぱりホモだったんだな!」
「なんでそうなる!」
「じゃあ付き合おう、俺達っ!」
「“じゃあ”って、だから君は何でそうなる!」
「わからない、わからないよ男の落とし方なんて、俺知らないし!
嫌なのか、そうなんだな?そうなんだろう?!」
「落と…されるのか、私は。」
何処までも一人で盛り上がる起爆剤ボンバーアムロに、頼むから少し落ち着いてくれと強引に唇を奪う。
「んんっ…」
ふ…、う…ワーーーーッッッ!
「あ、う…俺、俺に触るなぁああ!!」
「触るなって君…、今の今“付き合おう”だの“欲しい”だのと叫んでいたのは君じゃないか。」
「いや、そうだけど…。そうだけども!」
ほんとやめてくれよ。
もうこれ以上おかしくなるのは御免だってば。
俺まだ自分がアッチ系なんじゃ無いかって疑ってる段階だしさ。
そんなガンガン進まれると、どーしたらいいんだよ、もう…。
まさに天然アムロ頭。
自分で「欲しい」と言っておいて何処までも勝手な男である。
「俺、今ようやくブライトが胃を荒らす気持ちがわかったよ。」
―――なんだか凄く苦しいデス。
「理屈じゃないのだよ。」
だから頭で考えてもわからんと言っただろう?と、少し困ったようにそして柔らかく微笑み返す。
「…俺、今あなたを凄く殺してやりたい。」
殺してこの気持ちがどうにかなるものなら。
かなりの勢いで認めたくは無いけれど、多分俺、狂おしい程あなたを好きなんだと思う。
だから、その前にもう一度。
差し出される手を受け取ったなら、それは極上の楽園への近道。
―――もう一度あなたの腕に飛び込んでもいいですか?
頑張れ天然ファーストニュータイプ。
アムロの苦悩はこれから始まる。
ハッピーエンドなんだか何なんだか。
とりあえずアムロの気持ちは伝わったって事で。
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+++END.
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