|
**********
俺を取り巻く日常は、限りなく普通でいつもと何も変わらなくて。
だけど…。
*:※:*
この間はあんな素敵に愉快な事をしたくせに、何事も無かったかのように全く普通の金髪男。
それはもとより何事にも冷静沈着ではあるのだけれど。
あの男の育ってきた環境下では、男同士も普通に抱擁しあったりするものなのだろうかと、赤毛の彼は思う。
「こうして〜こうなって、そんで…ほらって…。」
ブツクサぶつくさ両手を広げて訳のわからないジェスチャーをしつつ、小首を傾げているアムロを、同僚はいささか不可解な目で見ていた。
…というより常に奇行なアムロ故、また何かやらかそうとしているのだろう。ぐらいに思われているのだけれど。
*:※:*
あの素敵な出来事から数日経ったある日。
頭の中では力一杯否定しつつも、何処かで確実に理解しつつある心情のアムロが居た。
「俺…は、ノーマルだったよなぁ?たしか。」
マチルダさんあたり迄は限りなく普通だったよな、間違いない。
あ、そうかファッキンベルも(おい)、チェーンだって…なんて真剣に思いつつ。
やっぱり女は乳だよな?なんて下衆な事も考えつつ、軟らかくてナンボだろう?!なんて、自問自答しつつ爽やかな怒りも交えつつ。
男相手に勃つなんておかしいだろう!(勃ったのか!笑)
何故だ!(知るか)
そこへまたしても現る根元、金髪の男。
「何をさっきから一人で愉快な事をしているのだ、君は。」
一人芝居のまっ最中にお邪魔だったかなと思ったよ、とコーヒーをカップに注ぎつつやはり冷静で。
「…あなたが訳のわかんない事するから。」
あれから何かが変なんだよ。なんて言えるはずも無く。
「何を。」
「だからほら、あれだよ。この間の、ほらってあれ!」
「なに、ハグのことを言っているのか?」
何だって?
この男はサラリと「ハグ」だなんて言ってしまえるのか?
そんなもんか?やっぱりか、そうか…。
急激にクールダウンしたアムロは半ば強引に納得していた。
じゃあさ。
「何あれ。何だったのあれ。なんのハグよ?」
囁かに苛立ちを交えた言葉尻でアムロは問う。
「何の意味か?…自分で考えたまえよ、君はニュータイプだろう?」
自分は既に理解しているのか、交わすのが上手いステキ金髪。
半端なニュータイプとはこの人の事を言うのだろう。(失礼です)
「わかってたらこんなにヤキモキしないよ、馬鹿野郎!この金髪!バカ金!成金!」
「君、成金ではないぞ、私は。」
金塊積むの大好きな癖にこの男はよく言うぜ…。(作者談←話の骨折るな)
「酷いな。」
フフと笑い、飛んでくる罵詈雑言の矢を悉く跳ね返す。
わからないやつだな、君は。
つまりはね…
「こういうことだよ。」
赤い男は、怒りでフーフーと前足蹴り助走付きな闘牛=白い男の手を取り、先日とは反対に唇を降らせてみた。
怪しく笑みなど浮かべつつ。
はあっ?!
だから!
それ知らないって。
何よ、何なの?掌チューって何の意味よ!
この間もあなた言ってたけど、何の意味?
どーゆーことですかっ!
泣きたい程心地良い胸元に、またしても簡単に引込まれてしまったアムロは思う。
見上げればそこには爽やかな青空…な訳もなく。
嗚呼そうか、だからこの男の瞳は青いのか。
宇宙が空で、この男も空か。
そうか、だからか。
「…ちくしょー。」
俺、今かなり悔しいです。
なんとも無理矢理な理由がニュータイプらしいけれども。
見上げれば青。
戦場には不似合いな、何とも涼しげなソライロではないか。
ならばそのソライロに流されてみようと瞳を閉じた。
そうか、俺は雲。
…な訳は無いけれど。
「はぁ…変。やっぱりこれは変。」
「黙って。」
捕らわれた檻はとても柔らかで優しくて。
俺は逃げ場も無く、降ってくる唇に素直に瞳を閉じてしまったのだけれど。
…はあ。またやった。
ていうか、今度はやられた。
さようなら青春。
「複雑かい?」
フフと笑って赤い男は聞くのです。
「頭で考えてもわからんよ。」
「じゃあ何処で考えてるのさ、あなたは。」
「ていうか、あんたってバイ?」
「いいや。」
「ぐあ…じゃあ、俺がホモ?!」
「いや…」
「ていうか、あんたもホモ?!」
「いや…だからっ!」
いいじゃないか、流されようじゃ無いか。
この無機質な船の中で、せめてもの青空に流されてみようじゃないか。
風に乗り、流れる雲のように。
**********
+++END.
|