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シアワセという言葉にはいろんな意味がある。
たとえば俺なら。
ハロを弄っていてシアワセとか、新しく届いたモビルスーツの部品をどういう風に使おうか考えるシアワセとか。
休みの日に朝一回起きて、時間を気にせずぐうたら二度寝するシアワセも捨てがたい。
ブライトに聞いたらミライさんの手料理を食べながら子供達と食卓を囲むのがシアワセとか。(全く単身赴任の父親らしい)
美味いものを食べているときが至福のシアワセの時間だとか、音楽を聴いているのが一番シアワセだとかいう人も居るだろう。
最後に、俺は金色の髪を額の傷に垂らして隣で本を読む男に尋ねた。
「な、あなたの一番シアワセな時って、どんなとき?」
男はちらりと視線を上げて、すぐに小さく微笑んで俺を指差す。
「……俺?」
「が、側にいるならばどんなときでも大抵シアワセだ、私は」
さらりといわれて、真っ赤になって俺は悪口を叩く。
「案外お手軽なんだな」
「君に関してはそうさ」
……撃沈。
ベッドの上の羽根枕に赤い顔を持て余して沈没した俺の上から、私の方こそ君のシアワセを聞いてもいいかと声が降ってくる。
………聞くなよバカ。
無言で指だけ上げて男を指差すと、軽やかな笑い声と共にその掌が取られて、指先にそっと口付けられた。
こんなのがまぁ、シアワセなんだろうなぁ、とぼんやり思いながら。
俺は指先だけでは足りなくなった唇が俺のを求めてくるのに任せた。
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...end.
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