|
**********
>>>【Twilight Knight】
まさか、こんな状況に陥るとは、夢にも。
「見たまえ、ガンダムのパイロット。……黄金色の夕日が美しい」
そんなことを言っている男の背中を見ながら、正直俺はぐったりしていた。
「アイボウ、シッカリ、アイボウ、シッカリ」
俺がこの男に名乗っていないことを察しているハロが、横で心配そうな声で話かけてくれている。
「大丈夫だ、アイボウ君。彼は死なない」
金髪の男の方は笑顔でそんなことを請け負っているが、死ななかったとしても、せめてハロの通信圏内までは抜けてやらないとどうしようもないじゃないか。俺はため息をつきたくなった。
つーか、いつからハロの名前がアイボウになったんだ。だからって、俺もハロとは呼べないけれども。
戦場で、というか、ユニオンの軌道エレベーターの近くに拠点を構える武装テロ集団の殲滅ミッションを受けてやって来た俺は、戦場でこの男の乗るフラッグとバッティングした。
お互い敵陣のまっただ中だ。つうか、向こうこそガンダムがいるかもしれないからと単機出撃してきたとか正直ありえない。
元々、スメラギさんから武装テロ集団が麻薬を資金源にした潤沢な金で最新鋭のレーザー照射装置を購入したらしいとは聞いていた。
聞いていたのに、このフラッグが突っかかってきてくれたお陰で、二機揃って仲良く照射装置の照準に捕らえられ、大破はしなかったものの、俺のデュナメスは太陽炉とのバイパスが切断されて行動不能。
こいつの機体は聞くところによると、相手の張り巡らせているジャミングシステムのお陰でユニオンの「タワー」からの電力供給が受けられず燃料電池の残量不足。
つまりは、揃って身動きが取れなくなっちまったってことだ。
しかも、俺は衝撃でコックピットの中で負傷していたらしい。目が覚めると、機体備え付けの医療キットを手にしたこの金髪が、ハロとなにやら話をしながら俺の治療をしていた。
ハロは、ロボットの原則に基づいて設計されているだけに、人間に危害を加えることは出来ない。ハロを破壊しないでくれたのは幸いだった。ジャミングの外にさえ抜けられれば、ハロを通じて仲間と連絡が取れる。
……まあ、ちょっと和みすぎじゃねえかとは思うが。仮にも敵なんだぞ、そいつ。
そんで、どんな気紛れか俺の傷の手当てをしてくれた男は、そのまま俺が動けるのを待って、一緒に逃げようと考えているらしい。
戦場以外で斃れられてもつまらないだろうと堂々と言い切られたのでそれについては間違いない。
早く回復したまえ、決着は空で、モビルスーツに乗ってだ、と挑むように言われて、俺はこの先の展開が全く読めなくて、ただため息を零すしかなかった。
**********
...end.
|