CONDITION GREEN/緊急発進

ice, cream, bluesoda

 

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>>>【CONDITION GREEN】


 ピーカンの空の下、気持ちよく鼻歌を歌う男は作業用のツナギを上半身脱いで腰にくくりつけ、タンクトップ一枚というラフな姿だった。

 ついつい、歌も口を衝いて出てこようというものだ。

「hurry up, hurry up, あ〜い〜の〜つ〜ばさ〜♪」
「おい」
「あ〜な〜た〜の〜そ〜らへ〜♪ と〜ん〜で〜ゆく〜♪」
「おい!」

 流石に不機嫌な声で二度も呼ばれれば聡いエースパイロットである金髪の男は気付いた。

 不思議そうな顔で、高く掲げていたホースを下げる。後ろで、デッキチェアに座っていた筈の鳶色の髪の男が胡乱な目でこちらを見上げていた。

「……ご機嫌だな、グラハム・エーカーさんよ」
「うむ、今日はいい天気だしな!」
「ああ、そーかい」

 鳶色の髪の男……ニールの方は、がたがたと椅子を揺らしそうな勢いで苛立った様子を見せている。

 さっきまで読んでいた本は、と思ったが、向こうのテーブルの上に汗をかいたアイスティーと一緒に放り出されているようだった。

「良い天気は確かにいいことだけどよ、なんかお前さん、他に楽しいことねえの?」
「うん?」

 ニールの質問の意図が汲み取れなかったようで、グラハムはホースを右手に持ち替えて、左手を顎に当てて考え込むようなポーズになった。

「そうは言っても、大きな作戦行動も入ってないし、世間は平和だし」
「平和ボケしてんのは見てればわかるっつーの」

 なんせ、思い切り部外者のニールがこんな軍のモビルスーツのハンガーで座り込んで人待ちをしているのだ。これが平和でなくてなんだというのか。

 そう。人待ち。

(時間ができたし、折角の休日だから、デートでもするかとか浮かれたこと言い出しやがったのはどこのどいつだっつーの、このタコ!)

 内心でかなりふて腐れているニールである。デートだなんてそんな浮かれた恋人同士みたいな真似事、いつぶりだろうかと。

 軌道エレベーターのリニアの旅の中で感じていたあのときめきを返せ戻せ今すぐにこの朴念仁。

 目つきのすっかり剣呑な恋人を邪気の無い顔で見つめていたグラハムが、ああ、と思い出したように手を叩いた。

「ああ、そうか」
「?」
「私としたことが、気が利かなかったな、ニール」
「やっと分かってくれたか」

 うん、と満面の笑顔を見せたグラハムは、右手に持っていたホースを利き手の左に持ち替えた。

「暑かったのだろう? そらっ!!」

 言うなり素晴らしいコントロールでホースの水が上向けられ、綺麗な放射線を描いてニールの頭上に雨を降らせる。

「うわっばか!! 誰が水かけろなんて言ったよ!!」
「君は色白だからな、さぞこの日差しは辛かっただろう、遠慮するな!」
「するわ! 俺は犬じゃねえええ!!!」

 ついでいうとそこのフラッグでもねえ! 怒鳴られて、グラハムは首を傾げた。

 ちなみに、ロックオン言うところのそこのフラッグは、先程までグラハムが気持ちよく洗っていた愛機のことである。

「気持ち良さそうだろう?」
「おま……モビルスーツがホースの散水で冷めるわきゃねーだろ!!」

 それは全部あんたの自己満足だ、と怒鳴られてグラハムはぱしりと大きく目を瞬かせた。

「ニール、君、まさか」
「……んだよ」

 グラハムと似たり寄ったりの姿とはいえ、ずぶ濡れになってしまったニールが不機嫌そうに髪の毛を掻き上げていると、自分もいいとこ濡れ鼠の見本のようになったグラハムが、ホースを放り出して飛びついてきた。

「焼き餅か! フラッグに嫉妬してくれたのだな!!」
「ち、がーーーーーーう!!!」

 今更その通りとも言えず、顔を真っ赤にして離れろと喚き散らすニールであったが。

 その後グラハムと二人、通りがかったカタギリに君たち何やってんの風邪引くよ!? と纏めて子犬宜しく首根っこを掴まれてシャワーに突っ込まれる頃には、その夜の食事の約束を取り付けるくらいには無事に立場を回復したのであった。

「二度とあんたとモビルスーツのある場所でなんか待ち合わせしねえ」

 恨み言をたっぷり込めて呟かれた台詞は、しかし帰還してのち一部始終を半ば無理矢理聞かされた弟分達により、当たり前だろうむしろどうしてそこで待ち合わせしようと思った、と一蹴されてしまうに留まったのであった。









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...end.

 

 

水上さんがヴェーダから預かったミッションです。
コンプリートしてみた。

 

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