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好きな色は、と尋ねられたときに、いつ頃から迷い無く一つの色を答えるようになったのだろう。
燃え上がる、夜明けの太陽の色が好きだ、と。―――落日ではなく。
曰く、何かが変わってゆく色だと思うから。我ながら、陳腐でありきたりな理由だとは思うが。
―――だって君達は、私がそう答えることを望んでいるのだろう?
だから、唇はたった一つの色を紡ぐ。
情熱の、炎の、曙の、そして……鮮血の。
内緒だ、けれども。
ほんとうは。
赤なんか好きじゃない。
願わくば、いつも誰にも流されないように、凛として白くありたい。
純白は。
全ての色を許容しながら、その一方で僅かな色合いすら混じり込むのを一切拒否する、残酷な色。
そして、私の魂の焦がれて已まない彼の色。
混じりけ無く真っ白で居られるのなら、何を無くしても構わない。
もしも受け容れて貰えるのならば、この身さえ消し去っても、とすら想っている。
純白の雪原にぽつりと垂れた鮮血の一滴のように、目を惹きたいなどとは考えたこともない。
ただ、ひたすらに。
消し去られてしまいたい。
今は君が誰のことも必要としていないから、私は安心しているのだけれど。
彼が誰かをその白で、溶かして包み込んで隠してしまいたいと願うのならば、
世界でたった一人、選ばれたいのだ。
そうして私は今夜も、紅に染まる明け方の陽光を身に浴びながら。
その果てに一瞬だけ見える、真っ白な世界を夢見ている。
君だけの居る世界を。
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...end.
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