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「…どうして分かってくれないかなぁ。」
不満そうに呟いて唇を尖らせ、まるで本当の子供のような表情で、元々が童顔の青年は呟いた。
「なにをだというのだね、一体。」
金の髪の毛を柔らかく秀麗な顔の周りに散らした男が、不満そうに眉を顰める。
「だから…ああもう、なんて言えばいいんだか…。」
困ったように、青年がくしゃりと癖のある髪の毛を片手で掻き混ぜた。思うことが上手く伝えられなくて、もどかしくて苛々する。
そのささくれ立った棘だけが相手には伝わるから、なお悪い。
案の定、男はふいと視線を逸らした。
「どうせ、私は君を困らせてばかりいるよ。…いつも、いつまでも。」
曇り空のような表情。アムロの憧れる、抜ける青空の色の瞳さえ、泣き出しそうに翳る。
はぁ、とアムロは溜息をつく。
…せっかく、快晴のような表情を続けるようになったこの人には、いつも太陽が差していて欲しいのに。
色々考えて、考えるのをやめにした。
「シャア、ちょっと。」
ちょいちょい、と犬か猫でも呼ぶように呼ばれ、それでも根が素直な男は憮然を顔に張り付けたまま頭を寄せる。
「なんだ。」
「ん、ちょっと。」
言うと、アムロは腕を引いて男を椅子に座らせる。そして自分はその前にかがみ込み、こつんと額を合わせた。
脳裏に広がるどこか懐かしい不思議な光景に、シャアが目を見開く。
アムロがくすり、と微笑んだ。
「……わかった?」
「ああ。」
シャアも笑う。
雲一つないくらい、からりとした青空。
そこにはいつも、琥珀色に溶けて煌めく太陽。
感じ取るのは二人だけの世界の交感。
『不安にならなくても、孤独を恐れても、独りは嫌だと叫んでも…もう構わないんだよ。』
イメージのアムロが囁く。
『……好きなだけ、泣いても、笑っても。』
驚いて顔を上げると、そこでは現実のアムロも照れたように困ったように微笑んでいた。
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...end.
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