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ーーーーーHAPPY BIRTHDAY, Graham Aker!!
そこに座って、と言われ、グラハム・エーカーは言われるままダイニングのテーブルに座った。
目の前には、大きな皿が一枚置かれている。横にはマグカップにたっぷりしたコーヒー。
一体何が、と言うより前に、皿の周りにニールがありとあらゆる調味料を並べた。
ケチャップやマスタードから始まり、何故かメイプルシロップまで。
そして、どんと置かれるバターの皿。
カリカリに焼き上がったベーコンやハム、ソーセージ、チーズ、お愛想と思しきマッシュポテトまで。
まだ事態が飲み込めないでいると、ベリー類の山ほど入ったボウルと、バナナだのオレンジだのキウイだのが薄く切られて乗せられた皿が置かれた。
ミントの入った小鉢、そしてだん、と最後に置かれたのは泡立てたばかりの生クリームのボウル。
「……ニール?」
名前を呼ぶ声が少々情けなかったのは否めない。そんなグラハムに向かって微笑んだ鳶色の髪の男は、火傷するぞ、と言ってから皿の上に手にしていたフライパンの中身を移した。
「パンケーキ?」
きつね色に綺麗に焼けている。その上に、ニールは手にしていたチョコレートソースで手早くメッセージを書いた。
ーーーーーHAPPY BIRTHDAY, Graham !!
弾かれたように見上げると、愉快そうに微笑む青い瞳と視線が合う。
「忘れていた」
「……みてえだな」
こういうのしたことねーだろ、家でやるパンケーキ祭りみたいなの、とニールは愉快そうに言ったのだが。
金髪の男は緑柱石の双眸を動揺させながら、真っ直ぐにニールを見上げてきた。
「どうしよう、ニール、その、幸せだ」
言ってから、いや違う、嬉しい、いや、そうではなく、と幾分混乱したように言い、最後に言うべき言葉を思い出したらしかった。
「そうだ、ありがとう、ありがとう、だ、ニール」
「……」
「ニール?」
呆れてしまったのかね、と少し心配そうに顔を覗き込まれ、ニールはさっと赤くなった頬を隠しながら、続きを焼いてくるから、好きなものと喰ってろ、と言い捨ててキッチンへ逃亡する。
「……何枚食べさせる気かね!」
君はパートナーが肥満気味の方が好みだというのなら考えるが、と減らず口をたたくグラハムに、ニールが怒鳴り返す。
「るっせ、もうパンケーキなんか見たくねえってあんたが言うまでだ!」
なんだよ、第一声が幸せだとかあんな顔で言いやがって畜生、今日はあんたの誕生日だ、っつーの!
誰に向かってとも知らない悪態を吐きながら焼いた二枚目のパンケーキは当然のように少し焦げてしまったが、綺麗なものと焦げたものを君と分かち合ってたべるのも悪くないな、などとキッチンまで追いかけてきて言いだした本日の主役様にとっては、全然大したことではなさそうであった。
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+++END
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