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The happiest day ? the happiest hour
My sear'd and blighted heart hath known,
The highest hope of pride, and power,
I feel hath flown.
....Edgar Allan Poe
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「あー、あのですね、アンジェリーク?」
「はい、なんでしょう、ルヴァ様。」
返ってくる無邪気な声に溜息一頻り。
「…そのー、ですねー。…あー、私としても余り煩いことは言いたくないのですがー。…。」
「はい?」
「その。あー、あのー、えー…。アンジェリーク。」
「はい。」
「ええと、…その。すいませんが私の膝の上から、退いては貰えません、か、ねー?」
おどおどというかへどもどというか、久々に書く元ルヴァアン書きでもえー加減にせーよと思うような謙った調子でルヴァがした提案を、アンジェリークはイヤです、とあっさり一蹴する。
「あー、アンジェリーク、でもねー、こんな所を誰かに見られたら…。」
「私は困りません。」
それともルヴァ様はお困りになる?と緑色の大きな瞳で見上げられ、元々優柔不断なルヴァは今度も完全に返答に窮した。
「あ、あのー、嫌ではありませんよー、ええ、絶対に嫌じゃありません、でも、ですねー。」
女王候補としてというより女性としてもっと慎みは…となにやら言いかける九つも上の守護聖以上恋人未満の人のいい大地の守護生に、アンジェリークは深々と溜息をつく。同時に、悪戯を思いついて瞳を輝かせた。
「ルヴァ様、じゃあそこまで仰るなら膝枕は止めますね。」
にっこり微笑んで起きあがるアンジェリーク。先程までは木陰に座り込んで本を読んでいるルヴァの膝の上に邪魔をするというか膝抱っこ寸前というか、半分以上体を預けた膝枕状態だったのだ。白昼の公園、そりゃルヴァじゃなくても大抵の男は引いたかもしれない。
とにかくアンジェリークは身体を起こし、…ルヴァの膝の上の書物の、そのまた上に軽く組んで置いてあった手の、長い指に口付けた。
「あ、あああああ、アンジェリーーーーーーーーーーーク?!??」
哀れ、ルヴァの声は驚愕で裏返っている。そんなへたれた大地の守護聖の様子には一向に頓着しないまま、マイペースなアンジェリークはにっこりと微笑む。
「ルヴァ様の、御本をめくる手…この指も、大好きです。」
「は、わ、わわわわわわ、そ、それは、う、うれ、嬉しい、ですが、でも、でもですねアンジェリーク?!」
急になんてことを、とじたばた暴れる大地の守護聖(注:26歳)を微笑ましく見守り、少女はその名の通り天使の如く微笑む。
「だって、凄く優しく御本に触れるんですもの。…いつか、そんな風に私にも触ってくださったら嬉しいな。」
この、口説きとしか思えない台詞にルヴァがかぁっと全身赤くなった。
「…?!あ、アンジェリーク?!」
すぅとアンジェリークは息を吸い込み、金の髪の毛に結わえられた赤いリボンを揺らす。
「ルヴァ様…私、貴方が好きです。」
「わわ、私は貴女ならなんでも好きですよ?!」
同時に言ってしまった言葉がこの二人の事実上の初めての告白であったのだが。
余りに刺激が強すぎてルヴァがこの時点で逆上せてひっくり返ってしまったため、アンジェリークの好きなルヴァの繊細な細い指が彼女に再び触れるまでに、実に後一ヶ月もの月日を要することになるのだっだ。
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end.
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