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「さぁ、お別れだよ。アルフォンス。」
呟いて、明るい色の髪の毛をショートカットにした婦警が暗い格納庫の中に浮き上がる純白の機体を見上げる。
「…綺麗にしてもらっちゃって。」
自分の付けた傷跡は殆ど残っていないと思うと、嬉しい反面少し寂しくなった。
愛機との無言の最後の会話の後、一人歩いて出てきた彼女に、横合いから声がかけられる。
「よ、野明。」
「…遊馬。」
黒髪の青年が、寄りかかっていた壁から体を起こした。
「…お別れは済んだか?」
「うん。」
「…ま、ここに来ればいつでも会えるから。」
「うん。」
「もし…万が一どっかに動かされるとか何かあるようなら
実山のじっちゃんに頼んで真っ先に教えて貰えるように手配してるから。」
「…うん。」
遊馬が深々とため息を付く。
「…だからもう、そんなに泣くなよ、野明。」
彼の心配は、怒鳴り声に近い返事で返された。
「泣いてなんか…いないもんっ!!」
「はいはい。」
ばさっとオレンジ色の上着を頭からかけられ、野明が抗議の声を上げる。
「なに、これ?!」
「泣いてないのはいいとしてだな、
その赤ッ鼻とズルズルの鼻水はみっともないから隠した方がいいぞ。
バックアップとしての忠告。」
「…相変わらず口うるさいんだから。」
苦笑して、それでも彼女は内心少しの感謝を捧げながら、
ぽんぽんと軽く頭を叩く手の平を心地よいと感じていた。
おしまい。
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う、いや…ゆうべあさぎさんからパト見てるというメールが来たのでなんとなく。
ちなみにパト2の小説思い出しながら書いてました。
サンプル機として篠原重工八王子工場に保存されて居るんですよね?アルフォンスって。
特車隊を野明が出ていくのとアルフォンスが廃機になるのとどっちが早かったかなと。
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