その日、久々の二人揃っての休日に、アムロが起きてくるのが遅かったのはいつものことだが、シャアまでが遅かったのは少々珍しいと言ってもいい出来事だった。ベッドの中で体を起こし、まだ隣にいる金髪の男に朝の挨拶をする。
「おはよう、シャア。なんだかめずらしいな、あなたがこの時間まで寝てるなんて」
「昨夜、人のことを放り出して先に寝たじゃないか、君…私はあれから目が冴えてしまって」
僅かに欠伸をしながらやや恨めしげに言われて、昨夜シャアを置いて倒れ込むように先に寝てしまった記憶のあるアムロが、果たしてここは俺が謝るところだろうかとは思いながらもごめん、と言って、シーツの中で膝を抱え、隣で寝そべったままの恋人を見下ろした。
「なぁ、腹減った」
「なにか食べに行くかい?」
この時間から作るのも億劫だし、と子供のような恋人の頬に手を伸ばしながらシャアが言うと、アムロはその手に頬を擦り付けながら、うん、と頷く。
「近くにさ、新しい店が幾つかオープンしてたじゃないか。折角だから行ってみようよ」
「構わないよ、そういえば、チャイニーズの店もあったな。行こうか。シャワーはどっちから浴びる?」
「俺が先に行く」
言うと、上体を起こしたまま、シャアの額に軽いキスを落とし、アムロはするりとシーツを脱ぎ落として、シャワーを浴びるためにバスルームに消えた。
―――――『美味しくなれるセロリのレシピ』:雨野とりせ
※この文章はあくまでサンプルです。内容は予告無しに変わることがあります。
|