ハーマイオニー・グレンジャーは、午後の日差しの射し込む図書館でひとり悩んでいた。
どうしても一問だけ、どれだけかかっても解けない問題があったのだ。
「なにが間違っているのかしら・・・」呟いてしまう。
参考書を捲っても教科書を捲っても正しい解答にはたどり着けず、うららかで穏やかな日差しの射し込む眠気さえ誘う図書館で、彼女の苛々は最高潮に達しつつあった。
問題自体はなんということもない単純な魔法陣の計算式だ。
ロジックのパズルが全て当てはまれば、解けないなどということは絶対にない。
極端な話、魔法使いに産まれていれば子供にだって解けてしまうだろう。
だからハーマイオニーはいっそ意地になっていた。
なんとしてでも今日中に、綺麗にこの問題を解いてしまわなければ。
さして難問でさえないのに。
―――"解けない問題":雨野とりせ
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