I'M SO SORRY BABY

-ごめんね-



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 本当は許して欲しいと思う。だって僕は必ず君をこの世界に独り残して旅立ってしまうだろうから。

 どんなに比翼連理を願っても叶わない。物理的にそういう風に出来ている。

 でも。

 それでも諦められなかったのは僕のエゴだ。

 離せばいい手を離せなくて、掴んだままで走ってきた。

 ごめんねと心の中でちいさく呟きながら、僕は弥生にキスをする。

 「永遠」とかいう関係を誓って。

 まずは永遠の定義から始めなくちゃいけないわねと弥生は綺麗に微笑む。

 お世辞でもなんでもなくて、今まで見てきた記憶の中のどの君より綺麗だと思う。

 生涯最高に輝く瞬間ですもの、と弥生は笑う。
 淳はしっかりしているようで変な所抜けているでしょう、と記念日を僕の誕生日に重ねてくれたのも、君。

 僕の人生をすっかり塗り替えたというと大袈裟だけれど、諦めかけていたものを諦めないでも良いと背中を押してくれたのは確かにあの日の弥生だった。

 そして、僕は有限の時間と引き替えに望みを全て手に入れた。

 自分は天才だなどと周囲が騒ぐほど自惚れては居ない。

 元々欲深い方じゃない。

 サッカーと弥生が有れば十分だ、と言ったら十分贅沢ですと小突かれた。

 ゆっくりとヴェールを上げる。
 伏せられていた睫毛の下から、少し琥珀色の混じったような不思議な色の瞳が現れて僕を見上げる。

 この視線に護られて、ここまで来た。今思えば僕達はまるで戦友のようでもあった。
 数え切れない哀しみと苦しみと痛みを共有する時間がいつしか僕達を何より強く結びつけていた。

 絆、とか運命なんて信じては居ない。それは自分の手と足で掴みに行くものだ。

 人生を、理不尽を戦い続ける、僕の隣にいても君は我が道を独り行っている。
 傷は沢山持っているけれど、これからは恋人のように恋愛らしい恋愛も出来るだろうか。

 少しは。

 ここから始まる二人の日々へ。玻璃の心をそっと掬い上げてくれた君へ。

 朗々とした声が温かい太陽の差し込む場所に響き始める。


*:*:*:*



"Jyun, do you take Yayoi to be your wedded wife, to live together in marriage.
Do you promise to love her, comfort her, honor and keep her
For better or worse, for richer or poorer, in sickness and health.
And forsaking all others, be faithful only to her.
So long as you both shall live? "

"I do."




*:*:*:*



 もう、後には引けない。


 誓いのキスは、ごめんねのキス。
 それでも僕は君を手放せない。



 これからは、少しは甘い生活でもしようか。
………弥生。






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end.

 

 

泰葉さんリクエストのキャプテン翼。淳と弥生です。ごめんつばさなじゃなくて(笑)

淳やいはアレですよね、期限付き時限爆弾を常に抱えている危うさがよろしいです。
いつ三杉君の心臓が破裂するかなとか…治ったとは言うけどねぇ。

ちなみに三杉君の誕生日は6/21。おお、三日しかかわんないぞガラスのエース!

 

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