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ああ、僕はどうして大人になるんだろう
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畜生。
呟きながらスネオは親指の爪を噛でみた。苛々すると爪を噛むとか言うのは本当は止めたらいいと思うんだけど。
なのですぐに止めた。僕は大人だ、もうジャイアンやのび太とは違うんだ。
三人で居ると一人は余るって良く言うけど、なんでいつの間にか僕が余ってるんだよ、ジャイアン。『心の友』じゃなかったのか。
ただ悔しくて、眼鏡の気の弱い友人の顔を思い浮かべて枕を殴りつけた。
ふと、クラスで一番の秀才に囁かれた言葉を思い出す。
『だから言っただろう?スネオ君には僕が居るじゃないか。』
ジャイアンやのび太君といつまでも一緒にいる年じゃないだろう?
「勝手なこと言ってるんじゃねーぞ、出来杉っ!!」
お前なんか、お前なんか。僕達が経験した冒険のそのどれ一つとして知らない癖に。
畜生。
あんな、猛毒みたいな甘い囁きになんか耳を貸すもんか。
畜生。
少年時代を終わらせまいと往生際悪く藻掻く少年は、ぼすぼすといつまでも枕を殴りつける。
そんなことで時の流れは止まらないと知っていても。
彼の所には未来の道具を出してくれる猫型のロボットが居ないことを痛感していても。
僕がそんなに、大変なものを欲しがっているっていうのかよ、チクショウ!
ああ、僕はいつ頃大人になるんだろう。
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ああ、僕はいつごろ大人になるんだろう
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end.
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